
過去2度オーバーステイがあっても実子ビザ認定申請(COE)で5年が許可された理由とは?
2026年6月に、オーストラリア在住の申請人(ご依頼者様/オーストラリア国籍/実母が日本人)による、在留資格「日本人の配偶者等」の認定証明書(COE)交付申請が許可されました。
「日本人の配偶者等」は、日本人の配偶者だけでなく、日本人の実子である外国人も該当するため、申請人はこの在留資格で申請しました。
申請人の特徴としては、過去2度のオーバーステイ歴があること。通常、オーバーステイの履歴があると入国管理局による審査は厳しく行われ、消極的な審査結果になります。しかし、今回の結果としては最長の5年が許可されました!
なぜ5年が許可されたのか、どのような書類を提出したのかについて以下で解説します。
オーバーステイのデメリット!
オーバーステイとは
オーバーステイとは不法滞在の一種です。3種ある(不法入国者・不法上陸者・不法残留者)うちの不法残留をオーバーステイと表現します。弊所へのご相談で、この不法残留(オーバーステイ)に関するものは少なくありません。
オーバーステイとは、具体的には、在留期間が過ぎても更新申請や変更申請を行なって許可を受けないまま、日本に滞在し続けている外国人を指します。短期滞在(観光ビザなど)で入国した後に、帰国せず滞在を続けている場合もこれに該当します。
オーバーステイの履歴があることのデメリット
オーバーステイの履歴がある外国人には、以下のように日本への入国拒否期間あります。
- 出国命令制度で出国した場合は最低1年間
- 退去強制の場合は最低5年間
- 退去強制歴が複数回ある場合は10年以上
日本人の配偶者等ビザ(日本人の実子ビザ)とは
日本人の実子に認められる在留資格(ビザ)の正式名称は「日本人の配偶者等」です。以下では「実子ビザ」と書きます。実子ビザは、就労についての自由があるだけでなく、永住申請や帰化申請の際にも、就労ビザに比べて大きなメリット(1年の在留で永住申請可能、生計要件等の免除)があります。
「日本人の実子」とは
「日本人の子として出生した者」とは、法律上の日本人の実子を指します。具体的には、嫡出子のほか、認知された嫡出でない子が含まれます(養子は含まれません/特別養子は別の類型として含まれます)。
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国籍の要件: 出生の時に父または母のいずれか一方が日本国籍だった場合、または出生前に父が死亡し、かつその父が死亡のときに日本国籍を有していた場合が該当します。出生後に親が日本国籍を取得しても該当しません。
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出生地の要件: 日本国内での出生に限らず、外国で出生した者も含まれます。
【実例】実子ビザの必要書類と補足説明書類
今回の実子ビザの申請では、申請人が海外在住であり、2度のオーバーステイの履歴があったため、入国管理局から求められる必要書類以外に、多くの補足説明書類を準備・作成しました。
通常の必要書類
実子ビザの必要書類については、出入国在留管理庁の公式ホームページに記載されています。情報出典:在留資格「日本人の配偶者等」(外国人(申請人)の方が日本人の実子・特別養子である場合)
今回の申請で提出した必要書類は以下です。
- 在留資格認定証明書交付申請書(オンライン申請)
- 申請人の身分証明書
- 顔写真(データ)
- 申請人の実母の戸籍謄本(全部事項証明書)
- 出生証明書
- ⽇本での滞在費⽤を証明する資料
- 身元保証書
- 身元保証人の身分証明書
- 住民票
今回提出した補足説明書類
今回の場合は、申請人がオーストラリアに滞在した状態での申請でしたので、日本に住むご親族に身元保証人になっていただく必要がありますので、追加・補足書類が多くなりました。具体的には以下です。
- 申請⼈の学歴と職務経歴に関する書類
- 反省文
- 申請理由書
- 記録写真
- ⽇本の住まいの不動産登記簿謄本
- ⽇本の住まいの写真
(補足説明書類)オーバーステイについての反省文について
今回のすべての申請書類の中で、最も注力したのがこの反省文です。以下が実際に提出した反省文です。反省文に加えて、事情を説明するために必要だったので、過去の航空券の手配情報も添付しました。(個人情報を隠していますので、ほとんどの部分を隠しています。ご了承ください。)
オーバーステイに関する反省文を作成する際は、違反の事実を正直に認めたうえで、時系列に沿って説明する必要があります。入国日、在留期限、オーバーステイ期間、違反に至った理由、出頭または摘発の経緯、出国日、今回の申請に至った事情などを記載します。さらに、現在は法律(出入国管理及び難民認定法)をしっかり理解していること、再発防止のために在留期限をどのように管理するかなど、必ず具体的な対策も含めて記載します。当然ですが、単に「反省しています」「また日本へ行きたい」と書くだけでは、説得力のある理由書にはなりません。
幸い、申請人がオーバーステイしてしまったのはいずれも数日間で、その事情は同情するべき部分もありました。だからといって、法律違反をして良い理由にはなりませんが、結果的に、「同情するべき部分」について審査官に酌量の余地があると判断いただいたのかもしれません。


(補足説明書類)申請理由書について
そもそも、実子ビザの申請で「理由書」は必要書類ではないため、提出しなくても許可される場合は多数あります。行政書士としての経験上、理由書は「書いた方が審査上有利になる可能性が高い資料」だと考えています。なぜなら、私もご依頼者様である申請人(日本人の実子)とは初めて会うことが多いですが、「その人がどういう人なのか」「どういう人生を送ってきて、なぜ日本に住みたいのか」は、ある程度の時間をかけて、お話を細かく聞かないと理解できません。メールやLINEなどでやり取りしていくうちに、「どういう人なのか」が分かってきます。
このように私は申請人と直接やりとりしますので、その人柄がある程度分かりますが、入国管理局の審査官は「申請人の情報は書類だけ」しかなく、書類だけで許可するか、不許可にするか、を決めるしかありません。だからこそ、申請人が「伝えたい情報」「伝えるべき情報」を申請書にしっかり書いて、伝えるべきだと思います。結果的に、審査期間の短縮や許可率のアップに繋がる可能性があります。
上記の理由を申請人にご説明し、お話をうかがい、以下のような申請理由書を作成し、提出しました。(個人情報を隠していますので、ほとんどの部分を隠しています。ご了承ください。)

申請理由書は「感情」も大切ですが、それ以上に「事実」と「資料」を組み合わせて説得力を持たせることが重要です。ご希望があれば、テンプレートや具体的な添削例の提供も可能ですので、お気軽にご相談ください。
申請理由書について更に詳しくは以下の記事をご覧ください。
2度のオーバーステイ履歴があっても実子ビザが許可された理由
今回、2度のオーバーステイ履歴があっても実子ビザが許可された理由は、(個人的な見解ですが)2つあると思います。1つは、嘘偽りなく誠実に反省文と事実を疎明する書類を提出したこと。もう1つは、申請人が成人しており日本で安定・継続して生活できるだけの収入・資産を確保できることを書類で証明できたことだと思います。
申請人には、2度のオーバーステイの履歴はありましたが、悪意がないことは明らかでした。また、申請人は高学歴・高収入であったことも関係していると(私は)思います。
個人的には良い意味で意外な結果ではありましたが、最上の結果となり、申請人(日本人の実子)と実母(申請人のお母様)に大変喜んでいただいたことで、私としても記憶に残る申請になりました。
更に詳しくは以下の記事をご覧ください。
過去2度オーバーステイ!それでも配偶者等ビザ(実子ビザ)認定申請で5年が許可された理由と必要書類を解説!
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